「この施策、本当にユーザーの心に刺さるのか?」——商品企画やマーケティングの現場で、そんな悩みを感じたことはありませんか?
顧客ニーズを探るには、複数のペルソナを設定し、ChatGPTに“対話”をさせるのが効果的です。立場や価値観の異なる人物同士に議論をさせることで、「どんなサービスが必要とされているか」「何に不満を感じているか」などを具体的に洗い出すことができます。
やることは3つだけ。「①ペルソナを作成する」「②テーマを議論する」「③議論を整理する」。これだけで、精度の高い企画立案が可能になります。
本記事では、具体例を使い解説します。
こんな人におすすめ!
ユーザー | 利用できる場面 |
---|---|
新規事業開発担当者 | ターゲット層のリアルな課題からサービス要件を抽出できる |
商品企画担当者 | 多様な価値観を踏まえた商品コンセプトの立案が可能 |
マーケティング担当者 | 顧客像ごとの訴求メッセージを再設計できる |
ペルソナを作成する
今回は、新規事業開発担当者として「副業支援サービスに必要な機能」を利用者目線で把握することを目的とします。
そのためにぺルソナを2人設定し、ChatGPTへペルソナの情報を伝えましょう
プロンプト
以下の2人のペルソナを設定します。
佐藤奈緒(42歳)ーペルソナ(A)
- 年収:780万円
- 居住地:神奈川県横浜市
- 家族構成:夫・高校生の娘
- ライフスタイル:日中は勤務、夜は家事・家族時間が中心
- 趣味:料理、読書
- 悩み:副業に興味があるが時間の確保が難しい
田中優斗(27歳)ーペルソナ(B)
- 年収:420万円
- 居住地:東京都渋谷区
- 家族構成:独身・一人暮らし
- ライフスタイル:平日は残業少なめ、夜や週末は自由時間が多い
- 趣味:動画制作、SNS発信
- 悩み:本業にプラスになる副業をしたいが経験がない
テーマを議論する
ぺルソナについて、実際にありうるやりとりを通じて、お客様がどんなことを求めているのか、どんな点で悩んでいるのかを具体的に知ることができます。プロンプトでは、議論のルールを設定しましょう。
プロンプト
2人のペルソナになりきって、「副業支援サービスに必要な機能」について議論をしてください。
それぞれが自分の立場から意見を述べ、相手の意見に質問・共感・反論を交えながらやり取りをしてください。
議論の目的は、それぞれのニーズの違いを理解しながら、両者にとって有益な副業支援サービスのあり方を探ることです。
やりとりは4往復とする。各発言は300文字以内とする。
ChatGPTの回答
田中優斗:
僕は未経験でも挑戦できる副業を見つけられる「適性診断+案件紹介」が欲しいです。本業とつながるスキルも身につけたい。手軽に始められて、SNS活用や動画制作系の案件が多いと助かります。
佐藤奈緒:
私は時間が限られているので、短時間で完結できるタスク型の仕事や、スキルに応じた報酬の自動提案機能が欲しいですね。家族との時間も大切なので、柔軟に選べる仕組みが重要です。
田中優斗:
確かに、時間の自由度は大切ですよね。僕も将来的に家庭を持ったら同じことを考えると思います。その点で、スケジュールに合わせて案件を提示してくれる機能は全世代に便利そうです。
佐藤奈緒:
ありがとう。あなたのような若い人の目線で言うと、学習+実践の場が一体化していると成長も早いのかも。私は逆に、既存スキル活用に特化した機能がもっと充実しているとありがたいです。
ChatGPTがペルソナの立場で議論をしてくれました。このようにリアルな利用者としての声を議論を通して炙りだすことができます。
議論を整理する
この議論を活用し、さらにChatGPTへ議論を整理させましょう。議論の本質をつかむことができます!
プロンプト
議論をもとに、要約・相違点・課題をそれぞれ簡潔に整理してください。
ChatGPTの回答
要約:
大企業勤務の鈴木さんは副業の収入よりもスキル習得や社外ネットワークの拡大を重視。一方、地方企業勤務の田中さんは生活費補填のため、すぐに収益化できる副業を希望している。議論を通じて、副業支援サービスには「目的別に支援内容を分ける柔軟性」が必要だという認識が共有された。
相違点:
- 田中:未経験者向け機能(学習・適性診断)が重要
- 佐藤:時間制約に配慮した短時間・高効率な案件マッチングを重視
議論からの課題:
- キャリア段階に応じたサービス設計が必要
- 学習支援とスキル即戦力化の両立が鍵
- 案件の柔軟性とスケジュール調整機能が全世代に有効
このように、ペルソナ同士の議論を通じて、ユーザー像に“命”を吹き込むことで、本当のニーズや課題が見えてきます。
ChatGPTは、このような仮想対話のシミュレーションに非常に有効です。今回の事例では、「学習重視」「時間効率重視」という2軸のニーズが明確になり、それぞれを満たす設計の方向性も見えてきました。施策検討の初期段階に、こうした視点を取り入れることで、失敗の少ない企画が可能になります。
まとめ
- 複数の視点でニーズの違いを把握でき、施策の精度が上がる
- ペルソナ設定と議論の流れを工夫すると深い気づきが得られる
- 要点整理で対象ごとの対策が立てやすくなる